Worldshiproutes -Visuals-
STEAMSHIP
SALING
SAILING (magnified view)

 本書に掲載された1920年代初頭の汽船と帆船の航行ルートを図示したのが、sailingとsteamshipである。ルート上に示される数値は、本書の航路案内に対応している。
これらのルートについて一見してわかることは、1つの出港地から1つの目的地について、おおむね複数のルートが設定されていることである。以下で見るように、これは季節や方向によって推奨されるルートが複数存在しているからである。
まず汽船から見てみよう。本ルートがどのような汽船を対象としているかは本書の解説に記したとおりだが、いずれのルートも遠距離航行用のルートであり、沿岸部のものではない。緑色が西回り(東から西へ)、赤色が東回り(西から東へ)、青色は南北方向、短絡ルート、複数の寄港地に立ち寄る際のルートを示している。また、緑色と赤色のルートはともに10~4月の秋冬期ルートと5月~9月の春夏期ルート、および低出力汽船用のルートも含んでいる。アジアでは、インド洋周辺は各色のルートが複数設定されているが、南シナ海や東シナ海では赤色ルートや青色ルートが複数存在するのに対して、緑色ルートは1つである。これは、アジア、とりわけ東アジアから各地へ向かう西回りルートはほぼ固定的であったことを示唆している。無論、複数の青色ルートを経由しながら西回りに航行することも可能なことから、この点については海流、風向き、および港間の関係性も含めて今後検討していく必要がある。
帆船のルートについても遠距離航路用のものであるが、やや幅をもったルートが設定されている。黄色と茶色が主要東西ルート、赤色と黒色が主要南北ルートを示している。とくに、南半球では東西ルートから南北ルートへと分岐していることがわかる。アジアでは、例外もあるがおおむね10月~4月の秋冬期ルートと5月~9月の春夏期ルートが設定されている。これらのルートと海流、風向き、および港間の関係性については、今後の検討課題である。